2016/11/14

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全盲の方‐人々‐自分‐そして犬④

全盲の方について

全盲の方について

1歩、2歩、3歩・・・。私は地下鉄車内で声を掛けた全盲の男性と一緒に地上へ向かって階段を上り始めました。
ほんとうは「今日ぐらいは、いつもよりは緊張せずに楽をして地上へ上がって下さい。」と言いたい気持ちでしたが、それも言えませんでした。時々「イチ、ニイ、イチ、ニイ・・・」と言いながら、静かにゆっくりと私たちは階段を上っていきました。

階段を1段飛ばしに大股で上って行くスーツ姿の人たち数人があっという間に横を通り過ぎていきました。そしてヒールを履いたOL風の女性にも、買い物帰りの奥さん風の女性にも、みんなに抜かれながら私たちは最後の2人となって階段の端を上っていきました。

途中階段は曲がっており踊り場になっていました。とたんに緊張は高まり「あと、あと5・・4・・3段で一度踊り場です。」と伝え、そしてすぐに「左へ曲がっています!」「はい、あと数歩でまた階段です!」と、なぜかまた必死で伝えるのでした。

残りの20段ほどでしょうか、それでようやく地上に出ることができます。「イチ、ニイ、イチ、ニイ・・・」とまた声を出しながら、もう誰もいなくなった階段を私たちは上っていきました。「最後の一段です!」とうとう地上に出た後すぐに男性は、「すみませんでした。」と発し、私は「こんなので役に立ちましたか?」と本気で答えましたが、「いえ、全然、ほんとうに助かるんです。」「今日はほんとうに、ありがとうございました。」と答えていただきました。

そう言う全盲の男性の足元には、また次のあの黄色いぶつぶつの視覚障害者誘導用ブロックが信号に向かって続いていました。そうです、男性は家にたどり着くまで、まだまだ地上での続きがあるのです。「もう大丈夫ですから、ほんとうにありがとうございました。」という声を最後に、男性はおそらくいつものように信号に向かって歩いていかれました。

我先にと電車を乗り降りする者、階段を駆け上がる者、通路を広がって歩く者、視覚障害者誘導用ブロックの上に立ってスマホに夢中になる者、目の見えない方にとっては人間が一番の危険物であり障害物なのかもしれません。(次回、最終回です)

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